株式会社モビーディック 代表取締役社長 保田守ブログ

(株)モビーディック代表として、企業理念や物づくりに対する情熱など、ブログ形式でお届けします。

ジェットスキー用スーツなど

ジェットスキー用のレーシングウエアとしてのウエットスーツドライスーツその他の用品を開発してそれらの商品を当時の世界トップクラスのプロライダー達に着用してもらう事でMOBBY’Sブランドの知名度を広げつつ、その後ダイビングの市場へ参入していきました。アメリカでもレジャーダイビング用のドライスーツというものは1990年代に普及期を迎えていました。現地で先行していたドライスーツメーカーといえば、DUI, BARE, WHITESなどのブランドがありそれぞれに優れた製品を製造し販売していました。一般のレジャーダイバーの多くはドライスーツというものを体験したことが無く各メーカーのデモなどを通して普及していった時期です。中でもDUI社はミリタリーへの納入実績を通じて開発力があり社長のDick Long 氏は同じ業界の人間としてリスペクトし続けた方でした。それが現在では互いに業務提携を結ぶ間柄となり先日の訪米時にはDick氏のサンディエゴのご自宅に招かれて宿泊するまでになりました。世界広しと言えども、このように我々のウエットスーツ業界に関して言えばとても小さな世界です。最近では、特に東日本大震災以降にアジア地域の開拓に力を入れています。長い歴史のある韓国に加えて急速に経済発展してきている台湾、香港、中国そしてタイ国への販売を開始しました。これらの東南アジアは水温が高いのでドライスーツよりもウエットスーツの市場です。ウエットスーツでも求められるニーズがこれまでの国々とは異なるため、専用の商品の開発に取り組んでいるところです。

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イタリアでの続き。

イタリアでは、アメリカのダイビング業界の展示会(DEMA)に出展した際に当社製品を気に入ってくれた若い夫婦が代理店となり1990年からMOBBY’Sをイタリアで広めてくれました。彼はその後当社が現地に設立したモビーズ・ヨーロッパ社のセールスマネージャーとなったのです。このようにして欧州では各国に代理店さんが出来て販売網を構築できました。この関係は2006年に当社が現地法人を閉じてイタリアのマレス社(世界有数のダイビング器材総合メーカー)と相互に販売委託契約を締結するまで続きました。その後、マレス社とは10年間に亘り良好な関係が続き、2016年に発展的に契約を解消するまでマレス社はMOBBY’Sの製品を海外で販売し、当社はマレス製品を国内で販売していました。イ一方で、アメリカではなかなか代理店さんを見つけることが出来なかったので1990年に現地に直接投資をして販売を開始しました。最初に参入したのは当時急速に拡大していたジェットスキー市場でした。

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Vol.14「石巻専修大学との取り組みver.9」

私は先週大阪に出張しましたが、繁華街では中国語や韓国語がとても多く日本ではないのではないかと錯覚するほどでした。それから、ロシアですが、私はこれまで4,5回ロシアに行きましたが、これも日本では北方諸島の問題がありますから、日本に対しては友好的ではないだろうなと思っていましたが、とても親日的な人が多いので驚きました。極東のウラジオストクでは街中の自動車のほとんどは日本車ですし、語学に日本語を選択する学生もとても多いと聞きました。モスクワではモスクワ市内だけで、寿司店が1000軒以上もあると言われており、市内を歩くと、やたら「Sushi」の看板が沢山目につきます。とても日本ファンが多いです。

日本の人気が有る理由は、いくつもあると思います。これは日本の歴史の重さもあると思いますが、戦後に日本から世界中に輸出された製品の品質が優れていたことによることが大きいと思います。日本製品=高品質と言うことが常識となっているからです。これは日本人として、とても誇りに思います。

ですから。私が最初に海外営業をはじめたころは、商品もろくに見ずして日本製品だから間違いないといってくれる人が多かったですし今でもそうです。これは先人が大変な努力をして築き上げた信用です。私はこれを実感し、大いに日本人であることのプライドを感じ、また自分も後輩の皆さん方が、同じようにプライドを感じられるような良い製品を作らなければならいと責任を感じています。自分の行動が、日本のそして日本人の信用を傷つけることがあってはならないとの心構えを忘れないようにしています。特に最近はアジア各国の品質が向上してきていますので、互いに切磋琢磨しながらも負けない製品作りを心がけています。皆さんが海外に行かれたとき、海外のリゾートでダイビングやマリンスポーツを楽しんだときにMOBBY’Sのウエットスーツを着ることでプライドを感じられるような製品を作り続けていきたいと思っています。

皆さんも若いうちに無理してでも海外に行って見聞を広めてください。 以上

Vol.13「石巻専修大学との取り組みver.8」

さて、今後の当社の進むべき方向についてですが、まずマーケットとしては、アメリカ及びヨーロッパは、日本と同様にマリンスポーツ市場が成熟化しており、今後大きく伸びることはあまり考えられません、一方でアジア各国では経済成長が続いており、マリンスポーツへの参入者は、今後も増えるであろう事から成長市場であろうと考えています。ですから、今後は、何と言ってもまず中国であり、当社としては台湾、香港を含む中国圏の市場開拓に力を入れていきたいと思っています。また、レジャースポーツ分野以外の業務用のウエットスーツドライスーツの分野は新製品の開発をしていくことで参入の機会が増えるであろうと予想しており力を入れていきたい分野です。6年前に大きな津波を経験しましたが水中での救助活動や捜索活動に特化したウエットスーツドライスーツの開発も継続して生きたいと思っております。

話はそれるかもしれませんが、今、安倍内閣憲法改正機運が高まっていますが、日本は第二次世界大戦で敗れて以降、アメリカの支配下に置かれました、サンフランシスコ講和条約以降一応独立が認められましたが、今日まで未だにアメリカの属国と言われても致し方が無い状況があります。そういう点で日本人として肩身が狭い思いがあるのですが、実際に海外にいきますと、ほとんどの国で日本人に対して、あるいは日本国に対して友好的であることを実感します。先進国であるアメリカやヨーロッパでも少し田舎のほうに行きますと彼らにとって日本という国は科学技術と文化度が高い夢の国のような印象を持っている人が結構沢山おり、こっちが恥ずかしくなるくらいの憧れを持っている人は珍しくありません。また、第二次世界大戦で日本が占領したアジアの国や地域の人たちも、こちらとしては、引け目があるので日本を嫌っている人が多いのかなと思っていましたが、全くそんなことはなく、むしろ憧れの国のように思ってくれる人たちが多いので最初は戸惑いました。それでも最近は韓国や中国で反日的な傾向が強いですよね。新聞やテレビで見て反日的な人が増えるのは困るなと思っています。しかし実際はどうか?昨年の訪日外国人は史上最高で2400万人を超えたのですが、上位4カ国は中国、韓国、台湾、香港でしてこの4カ国だけで全体の75%を占めます。そして、ある中国人の方に聞きましたが、中国で政府が半日活動をすると日本に来る中国人の数は減るでしょうねと訪ねたら、そんなことはない、一度日本に来たら、ほとんど人が又来たくなるそうです。皆日本が大好きになる、だから益々増えるだろうと言っていました。

Vol.12「石巻専修大学との取り組みver.7」

「MOBBY’Sの体感価値」

これは篠宮龍三というフリーダイバーの方で足ヒレだけをつけて水深115mまで潜りアジア記録を作った方ですが、その時に当社のウエットスーツを着用なさって当社製ウエットスーツの機能性を証明してくれたと思っています。

「独創知財

私たちはそのほかにも特許や実用新案を20件以上持っており独創的な商品作りに努力をしております。

それと、ドライスーツですが、これは水中において完全防水を維持しなければなりません。ドライスーツは基本的に中が濡れませんからインナーウエアを着ます。そして、水温に応じて厚いインナーを着たり薄いインナーを着たりして保温性を調整します。ですから、ウエットほどは身体に密着しませんので、ウエットほどはフィッティング技術を要求されませんが、基本的によりよいフィッティングが求められることに変わりありません。しかし、それ以上に完全防水技術が要求されます。素材にもよりますが、これが簡単ではありませんので、当社としても素材が変わるたびに、防水技術を要求されるので、今でも絶えず研究をしています。防水部分に細い糸が一本でも間にいれば水が漏ります、耐久性の悪い素材を使いますと、時間が経つにつれ劣化し、水が漏ることもあります。ドライスーツの製造は水漏れとの戦いです。当社では独自に作った検査装置で全品検査をして合格したもののみ出荷が許されます。また、研究のために構内に水深5mのプールを設置し必要に応じて潜水試験を行なっています。しかし、5mで検査して合格したものが30m潜ったら水が漏ってきた、などということがたまにありまして、水を完璧に止めると言うことはとても難しいのです。当社はこの防水技術においても他社に負けない技術を有していると自負しております。

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Vol.11「石巻専修大学との取り組みver.6」

次に皮膚についてですが、ウエットスーツと言うものは、基本的に身体にぴったりフィットしたものですから、謂わば皮膚のようなものです。ですから我々の究極の目標は第二の皮膚を作ることと言えます。これは実際に解剖によって人体から剥いだ皮膚です。皮膚には皺がありますがこの皺から人体の動きに伴う皮膚の伸展方向とその量が分かります。

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これは皮節という部分で神経の走っている線ですが、皮膚の継ぎ目のような線でもあります。この部分は、あまり伸びたり縮んだりしないのでスーツを作るうえで、縫い目はここに合わせることが合理的といわれております。

これらの解剖学的な知識をパターン、つまり型紙に応用します。

①可動部分と可動範囲

②動きに伴う拮抗関係

③動きに伴う皮膚の伸展方向と量

④皮膚区分

⑤結果としてゆとりの必要な部位と量の設定

⑥動きを妨げないカットラインを作り上げます。

そのACTの効果は、どうかといいますと、当社製の以前のスーツとACTを採用した後ではこのようにストレスが軽減されました。

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Vol.10「石巻専修大学との取り組みver.5」

それでは、どこに、どれだけのゆとりを配分したらよいでしょうか?人間の体がいつも同じ姿勢をしていたなら割と簡単です。例えば直立姿勢を原型とするならば、直立した人に布なり材料を当てて、貼り付ければその姿勢にあったゆとりのないスーツが出来ます、つまり、緩くも無く、きつくも無い、ストレスの無いスーツに仕上がるはずです、これを立体裁断といっています。ところが実際には、人はじっと直立だけしているわけではありません。身体を動かします。ですから次は動かす部分に、その運動量に見合ったゆとりを持たせる必要があります。それでは、どこにどれだけのゆとりを持たせればよいのだろうか?それを知るには人体の構造を知らなければなりません、それは解剖学です。それと、もうひとつは、スポーツごとに運動の種類や量が違います、つまりダイビングとサーフィンでは動かす部位とその量が違います。サーフィンの場合はパドリングをするので、大きく腕や肩を回しますが、ダイビングの場合は、むしろ水中で泳ぎますから、脚の動きが大きくなります。運動量の多い部位には、ゆとり量を多く配分します、するとそこに水が溜まるリスクが増えるので保温性の低下を招きます。ですから用途に応じて最適なゆとりを配分するためには、そのスポーツのことをよく知っていなければなりません。

それに加えて、それぞれの用途に応じたニュートラルポジションを決めなければなりません。ニュートラルポジションとは、謂わば原型のことです。例えば、ダイビングの場合の活動と言うのは着替えから始まって、移動、水に入る、水中で泳ぐ、水から上がる、移動、着替えなどの一連の動きがあります。もしスーツが直立姿勢を原型としたゆとりの無いものであればそれぞれの動きの際にストレスが掛かります。そのストレスを調べることで、もっともストレスが少ないのは、どういった姿勢を原型として使った場合かということが分かります。この姿勢のことを私たちはニュートラルポジションと言っております。

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これは、ダイビングの場合のニュートラルポジションです。直立よりもやや膝が曲がったり前傾したり腕が少し上がったりしています。

そして、人体の構造についても知っておかなければなりません、それが解剖学に基づく知識になります。まずは骨格についてです。人体の可動部位とその範囲を知ることが出来ます。例えば先ほどのダイビングのニュートラルポジションで言えば、やや膝が曲がっている、やや腰が曲がっていると言う特徴がありましたが、それでは厳密にその屈曲する膝とは、あるいは腰とは厳密にどこを指すのでしょうか?膝であれば俗に言う膝頭(膝蓋骨)から曲がると思いがちですが実際は膝頭の下の頚骨点という場所です、また腰は、腰と言うぐらいですから骨盤の上辺りが曲がると思いがちですが厳密には股関節ですね。そのように人体の可動部分を特定してパターンと言いますが型紙上に反映させます。

また筋肉ですが筋肉は伸びたり縮んだりします、一方が伸びればもう一方は縮みます。ですから、筋肉は互いに拮抗関係にあると言います。一番人にとって疲れない、つまりストレスの無い姿勢と言うのは、すべての筋肉が拮抗関係にあってバランスが取れている状態といえます、つまりそれがニュートラルポジションと言うことになりますが、この絵にありますように、まるで胎児の姿勢がそれに当たると言われております。

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